聖憐学院──
この国でもっとも名門の一つとされるこの学院は、今の時代には珍しいほど厳しい規則でも知られ、逆にそれが名門というブランドに一段と深みを与え、多くの信用を得ていた。
規則に厳しいのは教え子達だけではない。
それを教える教員たちにも同等以上に厳しい規則を求められていた。

この学院の教師に高柳正広という男が居る。
柔らかい物腰とユニークな授業、そしてスマートな外見から女子の教え子たちから絶大な人気を得ている。
しかし、それとは裏腹に……

そんな彼が放課後、一人の教え子に呼び出される。
相手、《桔梗院あやめ》は、彼が担任するクラスの教え子だ。
彼女は正広に告白してくる。
それは珍しいことではない。
ただ、その相手が、彼も目を付けていた相手だということ以外は。
しかし、厳しい規則の学院で教員と教え子の関係が認められるわけがない。
だがしかし、あやめはそれに納得できない。
そこで正広は、絶対に秘密であることを条件に、交際を了承する。
そして、その証として関係を持つ。
しかし──
二人の関係を秘密にしたのは、学院の規則のためではなかった。
彼の性癖を隠蔽するためでしかない。
女を壊すことに悦びを感じるという、最低の悪趣味を──

正広の悪趣味を《愛》だと信じて疑わないあやめに、今日もまた調教が始まる──



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